広島経済大学メディアビジネス学科2年 田中詩織
(OSC放送記者レポート)
(OSC放送記者レポート)
「広島の地域情報誌事情」というテーマで、前回に引き続き取材に行ったのは、株式会社クレ・マスメディア・スタディオ、株式会社サンフィールドの2社です。
●『月刊くれえばん』株式会社クレ・マスメディア・スタディオ
―呉の街と人をつなぐ
最初に株式会社クレ・マスメディア・スタディオへ行きました。『月刊くれえばん』は、1987年4月に創刊されました。呉市唯一のタウン誌として呉市民にとても愛されています。毎月21日発行で、370円です。こちらでは木戸編集長にお話を伺いました。
この誌面では、特集が毎回1〜2本組まれています。その中でも、読者を飽きさせないための工夫が行われています。それは、地域密着ということを根本に置きながら、パラサイトシングルやメタボリックシンドロームなど、人々が興味を持っていることを交えて取り上げることです。また、読者だけではなく、「作る側も楽しむ」という姿勢を大切にされています。
他誌との違いは、呉の歴史を取り上げている点です。意識を呉に留めつつ、外からのまなざしで呉を見つめます。「歴史を掘り下げることは、人の言葉を引き出すことになる。その言葉を自分を通して読者に伝えている」という言葉が印象的でした。
また、くれえばんは読者層が非常に広いそうです。高校生の卒業特集や、成人式特集が組まれており、読者は自分の知り合いを誌面で見ることができます。また、年配向けの内容も組まれているため、呉の幅広い人に知られている情報誌と言えます。
●『広島アスリートマガジン』株式会社サンフィールド
―ファンの目線に立ち、望むモノを提供
次に、株式会社サンフィールドへ取材に行きました。株式会社サンフィールドでは『広島アスリートマガジン』というスポーツ誌を発行しています。毎月25日発行で650円です。こちらでは古高編集長にお話を伺いました。
この誌面では、主にカープとサンフレッチェが取り上げられています。その他にも、広島を拠点とする多くのスポーツチームの記事もあり、スポーツファンにはたまらない誌面となっています。常に「コアなファンにも満足してもらえるもの」を心がけているそうです。また、月刊誌のため、新聞やインターネットのようにリアルタイムな情報を誌面に掲載することは不可能です。こういったリアルタイム情報は、広島アスリートマガジンの「携帯サイト(月額315円)」にて発信されています。とても速報性に優れ、誌面と関連付けることで非常に濃い情報を入手できます。
誌面では出来事だけではなく、選手の人間性やストーリーに入り込んで情報を発信しています。そして、読者が求めている選手の勇姿、洗練されたプレーを写真によって伝えています。こうしたクロスメディア展開は、読者にとって選手を身近に感じることのできる1つの方法です。
●常に読者目線で 自分たちも楽しめる情報誌を
前回同様、各社に強い思いがあることを実感した取材となりました。読者を巻き込んでいくと同時に、作る側も楽しむようにすることが、より親近感の湧く記事となっていることが分かりました。目先にとらわれることなく、読者の目線に立った情報を発信することにより、広島の街をより活気づかせるパワーが生まれてくるのだと思います。取材させていただいた編集部の方々は、自分の仕事に誇りを持っておられる方々ばかりで、とても良い刺激を受けました。
そして私自身も、広島の地域活性化に携わりたいという夢があります。作る人の思いが誌面に反映されているからこそ、自分の住んでいる広島をもっと知ることができ、好きになっていくのだと実感しました。試行錯誤中と言われている地域情報誌ですが、絶対失くしてはいけないと思います。今後の展開に注目です。
広島の地域情報誌事情(1)―『FunFANFun』『まるごと安佐南&安佐北。』『TJhirosima』