広島経済大学メディアビジネス学科3年 高村有希
(OSC放送記者レポート)
(OSC放送記者レポート)
私は、学生が様々な社会実践に取り組む「興動館プロジェクト」という大学の活動で、「中国植林プロジェクト」に所属しています。中国の砂漠化の防止と共に日本の黄砂被害を軽減することが目的です。ただ、海外ばかりに目を向け、国内の現状を知ることがありませんでした。そのため、今回の「環境保全型森林ボランティア活動」に参加することしました。
この活動は、岡山県の新見市で年2回行なわれ、全国から大学・専門学校の学生や社会人が集まります。16回目となる今回の活動には、約30名が参加し、3月7日から2週間に渡って実施されました。
活動の背景には、木材材価の低迷や林業従事者の減少・高齢化などにより、新見市内の森林施業の実施が年々困難になっていることが挙げられます。新見市では約87%を林野(森林と野原)が占めており、そのうち人工林が約59%です。現在、間伐等の保育作業を緊急に必要とする人工林が増加しています。
この現状を打開する手段としてこの活動は実施され、この活動を通じて森林の持つ公益的機能等の森林・林業の重要性について学ぶことを目的としています。
●取り組んだこと――保育作業の「間伐」と「枝打ち」
今回の活動では、指導員にあたる森林組合の方や新見市役所の方と共に、人工林の保育作業に取り組みました。保育作業としては「間伐」と「枝打ち」を行ない、参加者を2グループに分けて3日交代で取り組みました。各作業の目的と内容は次の通りです。
《間伐》
目的:
木がバランスよく成長するための本数調整であり、成長に伴って混雑した林の樹木の一部を除去することで、他の樹木の成長を促進させる狙いがあります。
また、間伐後の樹木はより深く根を張ることに加え、太陽光が地面に届きやすくなることで下草も生長し、土砂災害の防止にもつながります。
内容:
・チェーンソーによる伐倒作業
(1)木の選定:曲がったり幹が二股になった木を中心に選ぶ。
(2)伐倒:倒したい方向に受け口を作り、反対側から追い口を作ってやることで、口の開いた方向に倒れる。
(3)払い:木の枝を幹から払い落とす。
(4)玉切り:3mもしくは4mに測って、丸太にしていく。
(5)林内作業車が集材しやすいように、丸太をまとめて集めておく。
・林内作業車での集材作業
2人1組で行ない、1人が丸太にワイヤーをかけ、もう一人がそれをウィンチで巻き上げ、荷台に積んでいく。ある程度積んだら、集材場所まで運び出す。
《枝打ち》
目的:
成長して10年ほど経つ樹木の枝を幹から切り落とす作業です。そうすることで、枝が製材した際に節として表れず、材価を高めることができます。また、太陽光が届きやすくなることで、間伐と同じく下草や樹木自身の成長を促すことができます。
節の有るなしで価値が大きく変わるということで、私たちは大切な作業をさせて頂いていることを重く受け止めました。
内容:
・手ノコによる枝の切り落とし作業
1人1〜2列を担当し、木に絡まったツタの処理なども行なう。切り落としていく枝の高さは、大きな木だと2mくらいまで、小さな木だとその木の半分くらいの高さまでを目安としたが、本来は力枝という目安となる枝がある。
今回は、2週間で2.3haの面積をやり終えた。
●「頭を働かせる」作業
思った以上にきつい作業でしたが、汗だくになりながらも一生懸命取り組みました。作業内容を文字で振り返り、自分たちがやったことがこの程度の説明で終わってしまうことが何だか残念です。現場では、何度か危険な目にも会いそうになりました。2週間という短い期間でありながらも、経験を通じたからこそ、林業の現実が見えたように思います。
指導員の方がおっしゃっていましたが、現場ではいかに「楽」をして作業に取り組めるかを考えるそうです。そうすることで自身の負担を軽くするだけでなく、作業の効率化にもつながるからです。そのようなこともあり、私たち参加者も、作業中は常に効率性を重視し、作業後は反省会も行ないました。試行錯誤しながらの作業は、初めのときと比べ行動にムダがなくなったように思います。
現場では、「頭を働かせて動け」と何度も怒られました。ただ何かをするのではなく、今何をすれば全体が効率的に動けるのかを考えるよう言われました。
●林業の低迷と荒れていく森林
現在、林業では採算の厳しい現状が続いています。木材輸入により材価は下がり、加えて人件費や運搬費もかかります。そのため、現場での効率化が求められてくるのです。
そんな中で、林業は森林の健全化や保護といった役割も担っています。私たちが森林から受ける恩恵は数多く、土砂災害の防止機能であったり、水質や大気の浄化機能などが挙げられます。しかし、林業がこのような状況であり、荒れた山、取り残された山が与える影響は大きいことだと思います。
その影響を受ける私たちも、積極的に問題に取り組む必要があるように感じました。私が今できることは分かりませんが、まずは、地元にある森林と向き合うことから始めたいと思います。そして、今後何かしらにつなげていきたいと思いました。
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