2011年08月16日

「ポスト311の地域メディアを考える〜ラジオと共感のコミュニティ づくり〜」

広島経済大学メディアビジネス学科3年 田中詩織
(OSC放送記者レポート)


s-DSCF6950.jpg 2011年7月9日、立町キャンパスで開催された、第3回ひろしまメディア文化研究会(M-chic)のテーマは「ポスト311の地域メディアを考える〜ラジオと共感のコミュニティ づくり〜」でした。今回は、東北大学の坂田邦子さん、RCC中国放送の金尾雅彦さん、ひろしまジン大学の平尾順平さんにご登壇いただきました。東日本大震災のときのメディアの機能について伺いながら振り返り、これからの地域メディアのあり方についての議論を行いました。

●3.11とメディアと私 − 東北大学坂田邦子さん

 坂田さんには、様々なメディアと東日本大震災がどのように関わっていたのかということを話して頂きました。以下にメディアごとのポイントをまとめました。

s-DSCF6988.jpg○ラジオ
 ラジオは地震発生から約10分間ストップしたそうです。そして、ラジオでは具体的な被害状況ではなく、地震の規模を表すマグニチュードや津波の高さを伝えていることが多く、"数値"だけを言われても被害状況や重大さが分かりにくかったという課題も見えました。音だけで発信するラジオでは、具体的な"状況"をより詳しく伝える必要があると改めて感じました。

○新聞
 地震発生の次の日は配達されなかったそうです。そのため、避難所に掲示されている号外を読み、情報を入手したとのことでした。その次の日からは通常通り自宅に配達されたが、坂田さんの住んでいる地域は、テレビ・ラジオの復旧が早かったため、ゆっくり読む時間がなかったそうです。速報性はやはりテレビ・ラジオなどには劣ると分析できます。新聞は見出しチェック程度で把握することしかできなかったということが分かりました。

○携帯・メール
 携帯・メールは1週間使えなかったそうです。その後、携帯やパソコンへ大量の安否確認の連絡が入っていたそうです。が、返信するのも大変で学生の安否確認もままならないまま、携帯・メールの理由を諦めてしまったとのことでした。

s-DSCF7033.jpg○テレビ
 「希望を見出せる情報」が欲しかったとのことでした。現場のことを把握するのに時間がかかり、「今」の状況が分かりにくかったそうです。どこに行ったらいいのか、どこに何があるのか、などといった「生きるための情報」を多く流して欲しかったそうです。

○インターネット・ソーシャルメディア
 ソーシャルメディアはメリットとデメリットが浮き彫りになりました。自ら情報発信ができるというメリット、反対に情報収集の際に出てくるデマなどのデメリットが問題でした。リアルタイム情報を発信できるが、その情報を人々が見るときは過去になっているという、リアルタイムやタイムラグのお話が印象的です。現代は、情報が検索されるインターネットのようなpull型メディアが多いが、垂れ流し情報のTVやラジオなどのpush型メディアの役割の大きさを実感しました。

○ご近所・友人
 一番貴重で、自らの行動に結びつける信頼性の高いものでした。自分と同じ立場なため、信頼でき、身近な存在ということが大きかったです。

○地元メディア
 当事者として記事が書かれていることから、きめ細かい生活情報を入手できたメディアだったとのことです。同じ目線、気持ち、つらさを共有でき、安心感と連帯感を生みだすことができたのは地元メディアの強みだと感じました。

 以上のことを踏まえて、マニュアル通りではなく既存のものを変える勇気が大切だと感じました。その中でマスメディアの震災報道機能の見直しも必要だと思います。被災地に対して機能することが一番重要な課題だと思います。

●ひろしま では? −RCC中国放送金尾さん、ひろしまジン大学平尾さん

s-DSCF6993.jpg RCC中国放送で放送している「勝手にトークひろしま!」についてお話いただきました。通常のテレビやラジオとは違った、「普通の人が全力で話す場」として大きな役割を果たしています。ustreamで映像が流れ、ラジオで配信する、新たな取り組みが新たな発想として注目されています。

 ひろしまジン大学は街をまるごとキャンパスに主体的に地域に関わる人をつくるという目的にもとでのお話をしていただきました。広島についてみんなで共有し、みんなが先生・生徒になって取り組んでいるそうです。世代や職業、分野など関係なく、地元のことを知って経験し共有する場としています。主体的に社会や人と関わっていくことが大切だとおっしゃっていました。

●コミュニティを繋げ、メディアの役割の見直しを

s-DSCF7029.jpg この研究会で得た大切なことは、小さなコミュニティを繋げていくことで、自分たちだけで完結するのではなくみんなで共有することだと思います。ネットワークをきちんと築き、日ごろからの人と人との繋がりを大切にしておくことが大前提になると感じました。そして、マスメディアの働きの大きさを再認識しました。ソーシャルメディアがどんどん溢れ、人々にとって身近な存在になっているのは事実です。しかし、いざという時に私たちは「マスメディア」に頼ります。ソーシャルメディアとマスメディアがうまく互いに機能することが大切だと感じました。


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2011年05月25日

林業低迷と森林保育―「環境保全型森林ボランティア活動」に参加して

広島経済大学メディアビジネス学科3年 高村有希
(OSC放送記者レポート)


 私は、学生が様々な社会実践に取り組む「興動館プロジェクト」という大学の活動で、「中国植林プロジェクト」に所属しています。中国の砂漠化の防止と共に日本の黄砂被害を軽減することが目的です。ただ、海外ばかりに目を向け、国内の現状を知ることがありませんでした。そのため、今回の「環境保全型森林ボランティア活動」に参加することしました。

image001.jpg この活動は、岡山県の新見市で年2回行なわれ、全国から大学・専門学校の学生や社会人が集まります。16回目となる今回の活動には、約30名が参加し、3月7日から2週間に渡って実施されました。

 活動の背景には、木材材価の低迷や林業従事者の減少・高齢化などにより、新見市内の森林施業の実施が年々困難になっていることが挙げられます。新見市では約87%を林野(森林と野原)が占めており、そのうち人工林が約59%です。現在、間伐等の保育作業を緊急に必要とする人工林が増加しています。

 この現状を打開する手段としてこの活動は実施され、この活動を通じて森林の持つ公益的機能等の森林・林業の重要性について学ぶことを目的としています。

●取り組んだこと――保育作業の「間伐」と「枝打ち」

 今回の活動では、指導員にあたる森林組合の方や新見市役所の方と共に、人工林の保育作業に取り組みました。保育作業としては「間伐」と「枝打ち」を行ない、参加者を2グループに分けて3日交代で取り組みました。各作業の目的と内容は次の通りです。

《間伐》
image003.jpg目的:
 木がバランスよく成長するための本数調整であり、成長に伴って混雑した林の樹木の一部を除去することで、他の樹木の成長を促進させる狙いがあります。

 また、間伐後の樹木はより深く根を張ることに加え、太陽光が地面に届きやすくなることで下草も生長し、土砂災害の防止にもつながります。

image005.jpg内容:
・チェーンソーによる伐倒作業
(1)木の選定:曲がったり幹が二股になった木を中心に選ぶ。
(2)伐倒:倒したい方向に受け口を作り、反対側から追い口を作ってやることで、口の開いた方向に倒れる。
(3)払い:木の枝を幹から払い落とす。
(4)玉切り:3mもしくは4mに測って、丸太にしていく。
(5)林内作業車が集材しやすいように、丸太をまとめて集めておく。

・林内作業車での集材作業
 2人1組で行ない、1人が丸太にワイヤーをかけ、もう一人がそれをウィンチで巻き上げ、荷台に積んでいく。ある程度積んだら、集材場所まで運び出す。

《枝打ち》
image007.jpg目的:
 成長して10年ほど経つ樹木の枝を幹から切り落とす作業です。そうすることで、枝が製材した際に節として表れず、材価を高めることができます。また、太陽光が届きやすくなることで、間伐と同じく下草や樹木自身の成長を促すことができます。

 節の有るなしで価値が大きく変わるということで、私たちは大切な作業をさせて頂いていることを重く受け止めました。


内容:
 ・手ノコによる枝の切り落とし作業
 1人1〜2列を担当し、木に絡まったツタの処理なども行なう。切り落としていく枝の高さは、大きな木だと2mくらいまで、小さな木だとその木の半分くらいの高さまでを目安としたが、本来は力枝という目安となる枝がある。
 今回は、2週間で2.3haの面積をやり終えた。

●「頭を働かせる」作業

image011.jpg 思った以上にきつい作業でしたが、汗だくになりながらも一生懸命取り組みました。作業内容を文字で振り返り、自分たちがやったことがこの程度の説明で終わってしまうことが何だか残念です。現場では、何度か危険な目にも会いそうになりました。2週間という短い期間でありながらも、経験を通じたからこそ、林業の現実が見えたように思います。

 指導員の方がおっしゃっていましたが、現場ではいかに「楽」をして作業に取り組めるかを考えるそうです。そうすることで自身の負担を軽くするだけでなく、作業の効率化にもつながるからです。そのようなこともあり、私たち参加者も、作業中は常に効率性を重視し、作業後は反省会も行ないました。試行錯誤しながらの作業は、初めのときと比べ行動にムダがなくなったように思います。

 現場では、「頭を働かせて動け」と何度も怒られました。ただ何かをするのではなく、今何をすれば全体が効率的に動けるのかを考えるよう言われました。

●林業の低迷と荒れていく森林


image013.jpg 現在、林業では採算の厳しい現状が続いています。木材輸入により材価は下がり、加えて人件費や運搬費もかかります。そのため、現場での効率化が求められてくるのです。

 そんな中で、林業は森林の健全化や保護といった役割も担っています。私たちが森林から受ける恩恵は数多く、土砂災害の防止機能であったり、水質や大気の浄化機能などが挙げられます。しかし、林業がこのような状況であり、荒れた山、取り残された山が与える影響は大きいことだと思います。
 
  その影響を受ける私たちも、積極的に問題に取り組む必要があるように感じました。私が今できることは分かりませんが、まずは、地元にある森林と向き合うことから始めたいと思います。そして、今後何かしらにつなげていきたいと思いました。

関連記事:ラジオ報告「森林ボランティアに参加して」
ラベル:森林保全 環境
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2011年02月07日

広島の地域情報誌事情(2)―『月刊くれえばん』『広島アスリートマガジン』

広島経済大学メディアビジネス学科2年 田中詩織
(OSC放送記者レポート)

 「広島の地域情報誌事情」というテーマで、前回に引き続き取材に行ったのは、株式会社クレ・マスメディア・スタディオ、株式会社サンフィールドの2社です。

●『月刊くれえばん』株式会社クレ・マスメディア・スタディオ
―呉の街と人をつなぐ 


kureeban2.jpg 最初に株式会社クレ・マスメディア・スタディオへ行きました。『月刊くれえばん』は、1987年4月に創刊されました。呉市唯一のタウン誌として呉市民にとても愛されています。毎月21日発行で、370円です。こちらでは木戸編集長にお話を伺いました。

 この誌面では、特集が毎回1〜2本組まれています。その中でも、読者を飽きさせないための工夫が行われています。それは、地域密着ということを根本に置きながら、パラサイトシングルやメタボリックシンドロームなど、人々が興味を持っていることを交えて取り上げることです。また、読者だけではなく、「作る側も楽しむ」という姿勢を大切にされています。

kureeban.jpg 他誌との違いは、呉の歴史を取り上げている点です。意識を呉に留めつつ、外からのまなざしで呉を見つめます。「歴史を掘り下げることは、人の言葉を引き出すことになる。その言葉を自分を通して読者に伝えている」という言葉が印象的でした。

 また、くれえばんは読者層が非常に広いそうです。高校生の卒業特集や、成人式特集が組まれており、読者は自分の知り合いを誌面で見ることができます。また、年配向けの内容も組まれているため、呉の幅広い人に知られている情報誌と言えます。

●『広島アスリートマガジン』株式会社サンフィールド
―ファンの目線に立ち、望むモノを提供


athlete2.jpg 次に、株式会社サンフィールドへ取材に行きました。株式会社サンフィールドでは『広島アスリートマガジン』というスポーツ誌を発行しています。毎月25日発行で650円です。こちらでは古高編集長にお話を伺いました。

 この誌面では、主にカープとサンフレッチェが取り上げられています。その他にも、広島を拠点とする多くのスポーツチームの記事もあり、スポーツファンにはたまらない誌面となっています。常に「コアなファンにも満足してもらえるもの」を心がけているそうです。また、月刊誌のため、新聞やインターネットのようにリアルタイムな情報を誌面に掲載することは不可能です。こういったリアルタイム情報は、広島アスリートマガジンの「携帯サイト(月額315円)」にて発信されています。とても速報性に優れ、誌面と関連付けることで非常に濃い情報を入手できます。

 誌面では出来事だけではなく、選手の人間性やストーリーに入り込んで情報を発信しています。そして、読者が求めている選手の勇姿、洗練されたプレーを写真によって伝えています。こうしたクロスメディア展開は、読者にとって選手を身近に感じることのできる1つの方法です。

●常に読者目線で 自分たちも楽しめる情報誌を

 前回同様、各社に強い思いがあることを実感した取材となりました。読者を巻き込んでいくと同時に、作る側も楽しむようにすることが、より親近感の湧く記事となっていることが分かりました。目先にとらわれることなく、読者の目線に立った情報を発信することにより、広島の街をより活気づかせるパワーが生まれてくるのだと思います。取材させていただいた編集部の方々は、自分の仕事に誇りを持っておられる方々ばかりで、とても良い刺激を受けました。

 そして私自身も、広島の地域活性化に携わりたいという夢があります。作る人の思いが誌面に反映されているからこそ、自分の住んでいる広島をもっと知ることができ、好きになっていくのだと実感しました。試行錯誤中と言われている地域情報誌ですが、絶対失くしてはいけないと思います。今後の展開に注目です。

広島の地域情報誌事情(1)―『FunFANFun』『まるごと安佐南&安佐北。』『TJhirosima』
posted by 土屋ゼミ at 14:01| Comment(0) | TrackBack(0) | OSC放送記者レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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