2011年02月03日

「百試千改」―もみじ饅頭が愛され続ける理由 にしき堂・大谷社長インタビュー

広島経済大学メディアビジネス学科2年 佐竹佑介
(OSC放送記者レポート)


nishiki1.jpg 今回、私はもみじ饅頭で有名である、株式会社にしき堂の取材に行ってきた。今、にしき堂が売り出している生菓子のもみじ饅頭「生もみじ」が話題になっている。取材に行くことで、これまでの歴史や積み上げてきた努力、創意工夫などを知ることができた。今回、お話を伺ったのは代表取締約社長の大谷博国さんである。

●何十年もの試行錯誤

 株式会社にしき堂は、昭和26年創業で、これまでにたくさんの美味しいお菓子を作ってきた。現在、にしき堂のもみじ饅頭は、こしあん、チーズクリーム、チョコレートなど、様々な味がある。それは何十年も掛けて試行錯誤しながら作られてきたものだ。創業当初は、他社と同様、炭を使って作ることから始めた。しかし、炭で焼いてもみじ饅頭を作るのは、温度調節が難しく、苦労も多かった。重労働の仕事になり、女の人が作るのは難しかった。そこで、もっと良い方法はないかと考えた時に、ガスを使った専用の機械を開発しようと思い付いた。今、にしき堂のもみじ饅頭には6種類の味があるが、それぞれの味によって異なる機械を使っている。機械は何年もかけて改良され、それぞれの味を生み出してきた。

 「一つのお菓子を作るのには何年もかかります。それに新しいお菓子を作るのなら、永久に売れるお菓子にしたいのです」と、社長の大谷さんはおっしゃっていた。チーズクリームの味を作るのに7年、生もみじを作るのには10年の歳月が掛かった。どんなお菓子も簡単には作ることはできない。心に響くお話だった。

●大切なお客様の声

nishiki2.jpg 今、一番の売り上げは生菓子の生もみじである。その生もみじはお客様の発想で作られたそうだ。あるお客様に「なぜ、生八橋はあるのに、生もみじは無いの?」と尋ねられたのがきっかけで生もみじがつくられたのだ。しかし、その生もみじも、売り出し当初と今のものでは味は異なるという。その理由は、味に改良を重ね、生地の配合を変えているからだ。生もみじだけではなく、すべてのもみじ饅頭は、昔と今では配合は異なり、その時代に合わせた生地で作っている。

 「昔と今の時代では、舌が変わってきていると思います。今の時代の人たちは、柔らかいお菓子が好きですしね。昔と同じお菓子を作っても、飽きられてしまい、売れることはないと思います」。確かに、時間が過ぎていくごとに、人々の味覚は変わっていくのだろう。今の時代の人たちに、求められているお菓子を作ることが重要なのだ。そこで、顧客の声が重要になってくる。にしき堂では、毎日、お客様の声を書いたノートを店舗ごとに、提出することを義務づけている。これを行うことにより、購買者の声を身近に感じることができ、距離を縮めることができるのだという。事実、生もみじを作る時も、何回も彼らの声を聞いて、改良してきたという。お客様の声を重視する。これが人気のお菓子を作る近道にもなるということだ。

●「百試千改」 にしき堂の思い

nishiki3.jpg これまで、にしき堂はたくさんの売れるお菓子を作ってきた。今では、にしき堂のお菓子は広島の名物になっている。広島に観光に来た人たちが、にしき堂のもみじ饅頭や生もみじをお土産に買って帰ることは多いだろう。しかし、にしき堂の思いはさらに大きなところにある、と大谷社長のお話を聞いていて感じた。

 「県外の方々のお土産としてだけではなく、県内の自宅でも家族のみなさんが食べたいと思うお菓子を作りたい。美味しいお菓子を食べることはみんなを幸せすると思います」。その思いがあるからこそ、何年も1つのお菓子作りに時間をかける。にしき堂のお店には「百試千改」という言葉が掲げられていた。永久に売れるお菓子を作りたいという気持ちが、この言葉につながっているのだろう。このにしき堂の思いは、きっとお菓子を口にする人々に届いているはずだ。それがにしき堂のお菓子が県内外の人々に愛され続ける理由ではないだろうか。


posted by 土屋ゼミ at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | OSC放送記者レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月02日

広島の地域情報誌事情(1)―『FunFANFun』『まるごと安佐南&安佐北。』『TJhirosima』

広島経済大学メディアビジネス学科2年 田中詩織
(OSC放送記者レポート)

 「広島の地域情報誌事情」というテーマで、今回、土屋先生と一緒に取材に行ったのは、株式会社ガリバープロダクツ、ザメディアジョン、産興株式会社の3社です。どの会社ともそれぞれ特徴があり、地域情報誌の現状を把握することができました。

sDSCF5197.jpg●地域情報誌の置かれている状況

 いずれの編集部でも、広島の地域情報誌の現状一般についてお話を伺いました。その中で印象的だった事をまず紹介します。現在、紙媒体は非常に厳しい状況に置かれているということでした。例えば、新聞を取らない家庭が増えてきています。その理由としてはインターネットの普及が挙げられます。わざわざ新聞をとらなくても、パソコンや携帯を使って気軽に情報を入手できる時代になっています。紙媒体というものは本来、再販制度により守られてきました。しかし、リーマンショックなど近年の不況により紙代の高騰が著しく、紙面改革が行われるようになりました。新聞のページ数が減少するなど、気が付きにくい部分ではありますが、着々と改革が行われています。

 広島はかつて、地域情報誌が多くある県とされていました。通常、1つの県には1つの大きな地域情報誌があれば良いと言われていますが、広島県では複数発刊されていました。しかし現在は、休刊などによって広島の地域情報誌も減少しています。出版業界全般が厳しいと言われる中で、地域情報誌の業界はまさに試行錯誤中とのことでした。

●『FunFANFun』ガリバープロダクツ

sP1000027.jpg 最初に取材に行ったのは、株式会社ガリバープロダクツでした。1990年に創設し、今年の12月で20周年を迎えます。株式会社ガリバープロダクツでは『FunFANFun』という地域情報誌を発行しています。広島に密着した、読者参加型の子育て情報誌ということで、隔月発行で600円です。こちらでは大森編集長にお話を伺いました。

 この誌面では、キッズオーディションを開催しているのが特徴です。表紙に選ばれた子はもちろん、写真撮影を行った子ども全員を、誌面に掲載するそうです。我が子が雑誌モデルになる! 自分の子どもが雑誌に載っていると嬉しいですよね。

 お話を伺っていて一番印象に残っている言葉は「声でつくっていく」ということでした。『FunFANFun』の誌面にはアンケート用紙がついていて、それを通じて読者の「声」を聞いていくようになっています。また、オーディションへ来てくださった方にもアンケートに答えてもらい、直接、「ママの『声』」を聞くことも行っています。実際に誌面の中にもママ参加型のページも設けられています。読者をしっかりと巻き込んだ誌面作りをされていて、送り手と受け手の距離が非常に近い関係にあると感じました。

●『まるごと安佐南&安佐北。』ザメディアジョン

sDSCF5157.jpg 次に、ザメディアジョンへ取材に行きました。1990年に創設され、今年で20周年を迎えたそうです。ザメディアジョンでは『まるごと安佐南&安佐北。』という地域情報誌を発行しています。地域コミュニティに根付いた「ご近所」ならではの話題を提供しています。毎月発行で無料で手に入ります。

 お話を伺った佐々木編集長曰く、『まるごと安佐南&安佐北。』は「狭く深く世の中のトレンド」を紹介しているのが特徴とのことです。また、情報誌ではなく「情熱誌!!」とのことでした。何故?と思われる方もいらっしゃると思いますが、「情けに報いるというのはおかしい」という理由からだそうです。

 一番印象に残っている言葉は「読者の人と出す!」ということでした。具体的には読者参加型イベントをよく開催しているそうです。例えば、2008年に行った「ご近所ニット撮影会」には開催者の予想を超えて50組くらい参加があったそうです。他にも読者の方々と「ラグビー部」を作ったり、文章教室を開いたり、ユニークな試みをいろいろと行っています。

 お話を伺っていて「読者の人といかに関わっていくか」ということをとても大切にされているのが伝わってきました。誌面に登場した方のフルネームと年齢は必ず入れる、というお話も印象に残りました。そうすることで、読者の方に誌面の登場人物がより身近に感じられ、あの人がやっているなら自分も・・・といった前向きな行動を後押しするという効果があるとのことでした。

●『TJhirosima』産興株式会社

sDSCF5193.jpg 次に伺ったのが産興株式会社です。1951年に創設され、広島県内で地域情報誌を扱う中では老舗の会社です。産興株式会社では『TJhirosima』を発行しています。広島の情報を多くの人へ伝え、「人と街をつなげる」ことを目指しているのが特徴です。毎月発行で450円です。広告・コンテンツ事業本部の尾川さん、『TJhiroshima』編集長の阿南さんにお話を伺いました。

 『TJhiroshima』は広島の人々に幅広く伝えることを目的としていますが、実際、読者は30代中盤くらいの人が多いそうです。地域情報誌がよく読まれていたピーク時の1997年頃、主な読者層は大学生だったそうで、代が変わらずに現在もその層の方々が読み続けているとのお話でした。ファミリー層にも受け入れてもらえていると同時に幅広い年齢層に受け入れられている地域情報誌です。

 誌面の特徴としては、巻頭に編集部企画の特集をしっかり組むことが挙げられます。その巻頭特集はグルメ情報が多くなるとのことでした。グルメ関連はどの世代からも関心を持ってもらえる話題であるためだそうです。このことから、「読者の求めているもの」を考えて作られていると言えます。

●読者との繋がりが地域の盛り上がりに

 3社ともそれぞれの思いがあり、その思いを反映するために試行錯誤していることを実感しました。私が感じた3社の共通点は、「読者と繋がりを持つ」ことです。この繋がりが地域を盛り上げていく大きな鍵となっていると思います。メディアと地域の密接な繋がりは、より広島の街を活気づかせていくと思うからです。携帯、iPadといったモバイル技術の発達など、人がメディアとより身近に容易に関わっていくであろう今後、広島の地域情報誌がどのように変化していくのか、とても楽しみです。
posted by 土屋ゼミ at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | OSC放送記者レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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